Will-Can-Mustは、名前を覚えるより先に埋めてしまうのが一番です。まずは各枠を埋めるための質問リストと、架空の学生(大学3年・佐久間さん)の記入例を先に出します。ノートに3つの枠を書き、質問に答える形で上から埋めていってください。理論の解説や「なぜこれが就活に効くのか」は、シートを埋めたあとに読めば十分です。
この記事でわかること:
- そのまま埋められるWill-Can-Mustシートと、各枠3〜5問の質問リスト
- 架空の学生の記入例(全枠)と、書けないときの対処
- 埋めた3枠の重なりを、就活の軸・自己PR・志望動機に変換する手順
そのまま埋められるWill-Can-Mustシート(記入例つき)
まず、次の3枠をノートに作ってください。各枠の下に「埋めるための質問」を置いています。質問に答える形で、思いつく限り箇条書きにしていきます。1問1答ではなく、1つの質問から複数出てきてかまいません。
Will(やりたい)を埋める質問
- 時間を忘れて取り組めたことは?
- 誰にも頼まれていないのに続けたことは?
- お金を気にしなくていいなら、何をして過ごしたい?
- どんな状態の人を助けられたら嬉しい?
Can(できる)を埋める質問
- 人から頼られる・褒められることは?
- 苦労せずに人よりうまくできることは?
- バイト・サークルで任された役割は?
- 続けてきたことで身についた力は?
Must(いま伸ばすべきこと)を埋める質問
- Willを実現するのに、今の自分に足りない力は?
- 面接で「弱み」として挙げそうなことは?(裏返すとMustになる)
- 志望する働き方で、最低限求められそうな力は?
これを埋めると、たとえば次のようになります。大学3年・佐久間さん(カフェバイトとゼミが中心の、実績が派手ではない学生)の記入例です。
| 枠 | 記入例 |
|---|---|
| Will | 人の「困った」を仕組みで減らしたい/地味でも継続的に役立ちたい/作った物や仕組みが残る仕事がしたい |
| Can | 面倒な作業を手順化するのが得意/人の話を聞いて要点をまとめられる/コツコツ続けられる(簿記の勉強を1年継続) |
| Must | 人前で構造的に話す力/数字で説明する力/初対面の人に自分から話しかける度胸 |
ここまで書けたら、シートの下準備は完了です。次に、この3枠がそれぞれ何を意味するのかを、就活生向けに翻訳しておきます。
Will/Can/Mustはそれぞれ何を書く枠か(就活版に翻訳)
3つの枠は、もともと社会人のキャリアを考えるための道具です。就活生が使うときは、少し読み替えると迷いません。
- Will(やりたいこと):自分が心からやりたいこと・ありたい姿。「実現できるか」はいったん脇に置き、本音を書きます
- Can(できること):これまでの経験で身についた力・強み。過去の事実なので、最も書きやすい枠です
- Must(すべきこと):社会人なら「会社から期待される役割」ですが、就活生は入社前です。ここは**「Willを実現するために、今の自分に足りない力・これから伸ばすべきこと」**と読み替えてください
多くの記事がつまずきを生むのは、Mustを「企業から求められる役割」のまま説明してしまう点です。入社していない学生には遠すぎて書けません。就活のMustは「弱みの裏返し」「これから鍛えること」だと考えると、一気に手が動きます。
手順:3枠を埋めて重なりを探す
書き出しの順番には、詰まりにくいコツがあります。
- Canから書く:過去の事実を書くだけなので、最も手が動きます。自信の土台にもなります
- 次にWill:Canを眺めながら「本当は何がしたいか」を書きます。Canに縛られず、実現可能性は無視して構いません
- 最後にMust:WillとCanのギャップを見て、「Willに届くために足りないもの」を書きます
3枠が埋まったら、次にやるのが重なりを探す作業です。ベン図のように3つの円が重なると考え、2枠ずつの重なりに注目します。
- Will×Can(やりたくて、できること):ここが就活の軸の中心になります
- Can×Must(できるが、もっと伸ばせること):自己PRの「成長のストーリー」になります
- Will×Must(やりたいが、まだ足りないこと):志望動機の「入社後にやりたいこと」になります
3つすべてが重なる一点を無理に探す必要はありません。2枠ずつの重なりを見つけて、それぞれを別の用途に振り分けるほうが実用的です。
重なりを就活の軸・自己PR・志望動機に変換する
シートは埋めて終わりではありません。埋めた重なりを、選考で使う文章に変換して初めて価値が出ます。佐久間さんの例で、具体的に変換してみます。
Will×Can → 就活の軸へ
佐久間さんのWill「困ったを仕組みで減らしたい」と、Can「面倒な作業を手順化するのが得意」が重なります。ここから軸が作れます。
私の就活の軸は、現場の困りごとを仕組みで解決できる仕事であることです。
この軸づくりの詳しい手順は就活の軸の決め方にあります。Will-Can-Mustの重なりを、そのまま軸の材料として持ち込めます。
Can×Must → 自己PRへ
Can「コツコツ続けられる」と、Must「数字で説明する力を伸ばす」を重ねると、「地道な継続力を土台に、これから分析的な力を足していく人物」という成長ストーリーが描けます。自己PRは強みを一点に絞って書くものなので、Canの中で最も裏付けが厚いものを主役にします。書き方は自己PRの書き方を参照してください。
Will×Must → 志望動機へ
Will「作った物や仕組みが残る仕事がしたい」と、Must「まだ数字で語る力が足りない」を重ねると、「入社後は仕組みづくりに関わりながら、データで語れる人材になりたい」という入社後の展望が書けます。これは志望動機の後半(入社後にやりたいこと)にそのまま使えます。
このように、Will-Can-Mustは「自己分析の1手法」であると同時に、軸・自己PR・志望動機という3つの成果物を同時に仕込める道具です。埋めたら必ず変換までやり切ってください。