結論から答えます。**声に出して話すときは「御社(おんしゃ)」、文字で書くときは「貴社(きしゃ)」**です。つまり志望動機なら、ES・履歴書に書くときは貴社、面接で話すときは御社になります。迷ったら「口なら御社、紙とメールなら貴社」とだけ覚えてください。場面別の早見表と、銀行・病院など「社」ではない相手の言い換え、言い間違えたときのリカバリーまで、この順で確認できます。
この記事でわかること:
- ES・履歴書・メール・面接それぞれで使う呼称の早見表
- 銀行・病院・官公庁など業種別の言い換え(貴行・貴院・貴庁など)
- 言い間違え・書き間違えたときの現実的なリカバリー
志望動機の「御社」「貴社」の使い分け早見表
判断基準は1つだけ、「その言葉が声になるか、文字になるか」です。場面ごとに並べます。
| 場面 | 使う言葉と理由 |
|---|---|
| ES・エントリーフォーム | 貴社(文字で書くため) |
| 履歴書・職務経歴書 | 貴社(文字で書くため) |
| 企業へのメール・問い合わせフォーム | 貴社(文字で書くため) |
| 面接・最終面接 | 御社(声に出すため) |
| 電話 | 御社(声に出すため) |
| 会社説明会・座談会での質問 | 御社(声に出すため) |
| OB・OG訪問 | 御社(声に出すため。お礼メールは貴社) |
なぜ使い分けるのかも1段落だけ添えます。「貴社」は音にすると「記者」「汽車」「帰社」など同音異義語が多く、耳で聞くと紛らわしいため、話し言葉では「御社」が定着しました。丁寧さに優劣はなく、純粋にチャネルの違いです。だから「どちらがより敬意があるか」で悩む必要はありません。
銀行・病院などは「社」を言い換える(業種別早見表)
相手が株式会社でない場合、「社」の部分を組織に合わせて変えます。書き言葉は「貴◯」、話し言葉は「御◯」が原則です。志望先が当てはまる人は、志望動機を書く前にここを確認してください。
| 相手 | 書くとき/話すとき |
|---|---|
| 銀行 | 貴行/御行(「おんこう」) |
| 信用金庫 | 貴庫または貴金庫/御庫 |
| 病院 | 貴院/御院 |
| 官公庁・省庁 | 貴庁・貴省/御庁・御省 |
| 市役所・自治体 | 貴市・貴所/御市・御所(話し言葉では「◯◯市役所さま」も可) |
| 学校法人・大学 | 貴学・貴校/御学・御校 |
| 幼稚園・保育園 | 貴園/御園 |
| 法律・会計事務所 | 貴所・貴事務所/御所・御事務所 |
| 協会・組合・法人(NPO等) | 貴会・貴組合・貴法人/御会・御組合・御法人 |
| 店舗(飲食・小売の店単位) | 貴店/御店(通常は「お店」「◯◯店さま」が自然) |
話し言葉の「御庫」「御園」などは耳慣れず、面接官にも伝わりにくいことがあります。不自然に感じる場合は、話すときに限り「◯◯銀行さん」「こちらの園では」のように固有名詞や指示語で言い換えても失礼にはなりません。書き言葉は表のとおり「貴◯」で統一するのが安全です。
志望動機での使い方(書き言葉版と話し言葉版)
同じ志望動機でも、ESに書く版と面接で話す版で呼称が入れ替わります。対比で見てください。
ESに書く版(貴社)
私が貴社を志望する理由は、地方の中小メーカーの販路開拓を支援する事業に共感したためです。ゼミで地場産業の調査を行い、良い製品が売り方の問題で埋もれる場面を見てきました。貴社の営業職として、作り手の価値を届ける仕事がしたいと考えています。
面接で話す版(御社)
私が御社を志望する理由は、地方の中小メーカーの販路開拓を支援する事業に共感したためです。ゼミで地場産業の調査を行うなかで、良い製品が売り方の問題で埋もれてしまう場面を何度も見てきました。御社の営業職として、作り手の価値を届ける仕事がしたいと考えています。
中身は同じで、変わるのは呼称だけです。逆に言えば、ESを書き終えたら「貴社」を「御社」に置き換えて音読するだけで、面接用の回答練習になります。志望動機そのものの組み立て方は志望動機の書き方で型から作れます。
面接で「貴社」と言い間違えたらどうなるか
サブキーワードで検索が多い不安に、評価する側の目線で答えます。
選考への影響:それだけで落ちることはまずない
面接官が評価しているのは、志望動機の納得感・経験の再現性・質問への応答です。呼称の言い間違いは「緊張しているな」と受け取られるのが普通で、言い間違いを理由に不合格にする面接はまず考えられません。実際に影響が出るのは、間違いに動揺して以降の回答が上の空になるケースです。つまりリスクは言い間違いそのものではなく、引きずることにあります。
面接中のリカバリー会話例
気づいた瞬間に、短く言い直して先へ進みます。
学生:「貴社の、失礼しました、御社の海外事業に関心があり…」
これで終わりです。「申し訳ございません、緊張しておりまして」と長く謝るほうが流れを止めます。言い間違いに気づかず面接が終わった場合も、追いかけて謝罪メールを送る必要はありません。むしろ堂々と話し続けた学生のほうが、印象は良く残ります。
言い癖を直す練習法
毎回間違える人は、知識ではなく口の癖の問題なので、練習で直します。
- 面接想定回答を「御社」入りで書き起こす(書き言葉のまま暗記しない)
- 音読を3回。「おんしゃ」の部分だけ少しゆっくり言う
- 模擬面接やスマホ録音で、自分が実際にどちらを言っているか確認する
想定質問ごと準備したい人は面接でよく聞かれる質問25選を台本づくりに使ってください。
メール・ESで「御社」と書いてしまったら
書き言葉での誤用は、場面ごとに対応が変わります。
- 提出前のES・履歴書: 検索・置換で「御社」→「貴社」に直し、最後に全文を音読して確認します。手書き履歴書で書いてしまった場合、修正液・二重線は使わず、その1枚は書き直すのが原則です
- 送信済みメール: 1箇所の誤用なら訂正メールは不要です。相手の指摘や実害が出る間違い(日時・名前)と違い、呼称の誤りは訂正の連絡自体がノイズになります。次のメールから直せば十分です
- 提出済みのES: 差し替え依頼はしません。1箇所の呼称ミスで書類選考の合否が変わることは考えにくく、問い合わせのコストのほうが高くつきます
なお、企業名の後に「様」を付けて「貴社様」とするのは二重敬語的で不自然です。「貴社」だけで敬意は足りています。同様に「御社様」も使いません。