企業研究で競合他社と比べて「なぜこの会社か」を作るなら、比較軸を3〜4に絞って、記入例つきの手順で進めるのが最短です。項目を増やしすぎると手が止まります。まずは、そのまま使える手順テンプレを先に出します。この通りに埋めれば、競合との違いを志望動機に落とせます。
この記事でわかること:
- 競合他社と比較して「なぜこの会社か」を作る手順テンプレ(記入例つき)
- 比較軸の選び方と、競合の調べ方
- 志望動機への落とし込み方と、面接で競合を聞かれたときの答え方
競合他社と比較して「なぜこの会社か」を作る手順テンプレ
説明より先に、手順を出します。志望企業を1社決めたら、この4手順で進めてください。
手順1:比較する競合を3〜5社選ぶ
志望企業を含めて3〜5社にします。業界地図や業界団体のサイトで主要企業を確認し、志望企業と事業内容が近い2〜4社を選びます。全社を細かく調べる必要はありません。事業が近い企業を選ぶのがコツで、事業が違いすぎる企業と比べても差が出ません。
手順2:比較軸を3〜4に絞る
比較する観点を、志望動機に関わるものだけ3〜4個に絞ります。おすすめは次から選ぶことです。
- 事業・強みの領域(何で稼ぎ、どこが得意か)
- 顧客・提供価値(誰に、どんな価値を届けているか)
- 規模・業績の傾向(売上や成長の方向)
- 働き方・社風(社員の動き方、育成の考え方)
全部を見ようとせず、自分が志望理由に使いたい軸を選びます。
手順3:比較表を作る(記入例つき)
選んだ軸で、各社を一行ずつ埋めます。志望企業をA社、競合をB社とした記入例です。
| 比較軸 | A社(志望企業)の特徴 |
|---|---|
| 事業・強みの領域 | 法人向けの業務支援に特化。個社ごとの改善提案が強み |
| 顧客・提供価値 | 中小企業が主顧客。現場に入り込む伴走型 |
| 働き方・社風 | 若手のうちから裁量。改善提案を歓迎する文化 |
同じ軸でB社・C社も埋めると、各社の違いが一目で見えます。すべての欄を長文にせず、一言で違いがわかる粒度にそろえるのがポイントです。
手順4:差から志望動機に落とす
比較表を見て、「志望企業だけが持つ特徴」と「自分の価値観・興味」が重なる点を探します。そこが志望動機の核になります。「A社は法人特化で伴走型 × 私は人に深く関わる仕事がしたい」のように、事実と自分を線でつなぎます。
この4手順で、競合比較から志望動機までが一本につながります。企業研究そのものの進め方は企業研究とはに、1社を短時間で調べる手順は企業研究のやり方にまとめています。
比較軸の選び方(何を見れば違いが出るか)
比較軸を間違えると、どの会社も同じに見えてしまいます。違いが出やすい軸の考え方を整理します。
| 軸 | 違いが出るポイント |
|---|---|
| 事業・強みの領域 | 同じ業界でも「何で稼ぐか」は各社で違う |
| 顧客・提供価値 | 個人向けか法人向けか、価格帯や届け方の違い |
| 規模・業績の傾向 | 拡大中か安定重視か、方向性の違い |
避けたいのは、「安定している」「成長している」といったどの会社にも当てはまる軸だけで比べることです。それでは違いが出ません。「誰に、何を、どうやって届けているか」まで踏み込むと、各社の個性が見えてきます。特に事業・強みの領域は、同じ業界の企業でも稼ぎ方が意外と違うため、最初に押さえたい軸です。
なお、企業規模の大小や知名度だけで優劣を語るのは避けてください。大きいから良い・小さいから悪いという話ではなく、規模の違いが「どんな働き方や価値提供につながるか」まで見るのが企業研究です。
競合の調べ方(どこで情報を得るか)
競合の情報は、信頼度の高い順に一次情報から集めます。
- 公式サイトの事業紹介:各社が何を主力にしているか、どんな価値を掲げているかを確認する。
- IR資料(決算説明資料・中期経営計画):業績の傾向と今後の重点分野を読む。上場企業なら公式サイトのIR情報にあります。図が多い決算説明資料が読みやすいです。
- 業界地図・業界団体の資料:主要企業の関係や、業界内での各社の位置づけをつかむ。
- 口コミ・社員インタビュー:働き方の雰囲気の参考に。ただし主観なので、事実は一次情報で裏取りします。
情報源をタイプで使い分ける考え方は業界研究のサイト・情報源の選び方に、IR資料をさらに深く読む方法は有価証券報告書の読み方にまとめています。競合比較でも、印象ではなく一次情報の事実で違いを押さえるのが基本です。
志望動機への落とし込み例文
比較表から志望動機を作る流れを、例文で示します。同じ業界のA社(志望)とB社(競合)を比較した想定です。
(軸の違い)同じ業界でも、B社が個人向けに幅広く展開しているのに対し、A社は法人向けの業務支援に特化し、顧客の現場に入り込んで改善を提案する伴走型のスタイルを取っています。(自分との接続)私は学生時代、アルバイト先の業務改善を現場の人と一緒に進めた経験から、人に深く関わって課題を解決する仕事に関心を持ちました。(結論)幅広さより深さを重視するA社の姿勢が、この関心と重なると感じ、志望しています。
この例文のポイント:競合との違いを事実(法人特化・伴走型)で示し、それを自分の経験・関心と線でつないでいます。「規模が大きいから」ではなく、違いと自分の接続で語るのが説得力の源です。志望動機の全体構成は志望動機の書き方を参照してください。
面接で「なぜ競合ではなくうちか」を聞かれたときの答え方
面接では競合との違いがよく問われます。答え方の型はシンプルです。
- 競合との違いを事実で一言:「B社が◯◯なのに対し、御社は△△という点に特徴があると理解しています」
- その違いが自分とどう重なるか:「私は□□という経験から××に関心があり、その点が御社の△△と合うと感じています」
- 入社後にどう活きるか:「その姿勢のもとで、◯◯という形で貢献したいです」
この型に沿った回答例です。
「同じ業界のB社が個人向けに幅広く展開されているのに対し、御社は法人向けの業務支援に特化し、顧客の現場に深く入り込む姿勢に特徴があると理解しています。私は学生時代、一つの相手とじっくり向き合って課題を解決する活動に力を入れてきたため、幅広さより深さを重視する御社の姿勢に強く共感しました。入社後は、その現場密着の姿勢のもとで顧客の課題解決に貢献したいと考えています。」
この回答例のポイント:競合を下げずに違いを事実で示し、自分の経験・関心と接続し、入社後の貢献で締めています。避けたいのは、競合を下げて志望企業を持ち上げる答え方です。「B社は□□がダメで」と言うと、視野が狭い印象になります。競合はきちんと評価しつつ、志望企業の違いが自分に合うという組み立てにしてください。面接で聞かれる質問全体の対策は面接でよく聞かれる質問25選にまとめています。