趣味・特技欄は、ESの中で唯一「仕事から離れたあなた」を見せられる欄です。ここで評価されるのは題材の珍しさではなく、どんなことにどう向き合う人かが伝わるか。つまり「音楽鑑賞」と書いて損をするのは、音楽が悪いのではなく、向き合い方が見えないからです。この記事では、字数別の書き方テンプレと例文14本、そして「書けることがない」人のための棚卸し手順まで解説します。
この記事でわかること:
- 企業が趣味・特技欄で見ている3つのポイントと、字数別の構成テンプレ
- 趣味8本・特技6本の例文(すべて深掘りに耐える設計)
- 「趣味も特技もない」人が題材を見つける棚卸し5ステップ
結論:趣味・特技欄は「人柄+向き合い方」を1つの題材で見せる欄
先に結論です。趣味・特技欄で書くべきことは次の3点に集約されます。
- 題材は平凡でよい。ランニング、料理、カフェ巡りで十分。珍しさは評価基準ではない
- 「何を」ではなく「どう取り組んでいるか」を書く。頻度・年数・工夫を数字で1〜2個入れる
- 嘘と誇張は書かない。この欄は面接で最も気軽に深掘りされる欄であり、実体験がないと一問で崩れる
ガクチカや自己PRが「成果と再現性」を問う欄だとすれば、趣味・特技は「素の人柄と継続性」を見せる欄です。役割が違うので、無理に仕事への貢献をこじつける必要はありません。ESの各設問がそれぞれ何を測っているかの全体像はエントリーシートの書き方の全体像で整理しています。
企業が趣味・特技を聞く3つの意図
書き方の前に、読み手の意図を押さえます。企業がこの欄を設ける理由は主に3つです。
| 意図 | 見ているもの | 書く側の対応 |
|---|---|---|
| 人柄を知りたい | 仕事以外の顔、価値観 | 素直に好きなものを書く。取り繕わない |
| 面接の話題にしたい | 会話が弾むか、楽しそうに話せるか | 面接で5分話せる題材を選ぶ |
| 継続力・探究心を見たい | 物事への向き合い方のパターン | 頻度・年数・工夫を具体化する |
重要なのは2つ目です。趣味・特技は面接序盤のアイスブレイクで拾われることが多く、ここで自然に話せると面接全体の空気が良くなります。逆にいえば、「書いたけれど話すことがない」題材が一番損です。書く前に「これについて5分話せるか?」と自問してください。
書き方の基本:字数別テンプレート
趣味・特技欄の字数は企業によって幅があります。字数別に構成を変えます。
| 字数 | 構成 | 文字配分の目安 |
|---|---|---|
| 一言(〜30字) | 題材+頻度や年数 | 「ランニング(週3回・5年継続)」 |
| 短文(50〜100字) | 結論→具体(数字) | 結論2割、具体8割 |
| 長文(150〜200字) | 結論→具体(数字)→そこから得たもの | 結論2割、具体5割、学び3割 |
ポイントは、どの字数でも数字を入れることです。「読書が趣味です」と「月5冊、年間60冊読みます」では、同じ題材でも具体性がまるで違います。数字は嘘をつかずに凄そうに見せる、最も簡単な道具です。
なお、150字を超える欄で「仕事への学び」を書くときは、こじつけを避けてください。「カフェ巡りで御社の店舗開発に貢献できます」のような飛躍は逆効果です。学びは「観察する習慣がつきました」程度の、事実の範囲にとどめます。
趣味の例文8選
すべて平凡な題材で、数字入り・深掘り耐性ありの設計にしています。そのまま写すのではなく、数字と固有の体験を自分のものに差し替えてください。
1. ランニング(結論)趣味は早朝のランニングです。(具体)大学1年から4年間、週3回5kmを続けており、月間の走行距離を記録するアプリで管理しています。(学び)体調と気分を一定に保つ自分なりの方法として習慣になっています。
この例文のポイント:年数・頻度・距離の3つの数字で「継続力」が言葉にしなくても伝わる構成です。
2. 料理(結論)趣味は自炊です。(具体)一人暮らしを始めた2年前から週5日は自分で作り、同じ料理を作るときは前回より1工程減らせないかを考えて段取りを組み直しています。(学び)限られた時間で複数の作業を並行する練習になっています。
この例文のポイント:「工程を減らす工夫」という向き合い方が入ることで、単なる生活習慣が改善志向の表現に変わります。
3. カフェ巡り(結論)趣味はカフェ巡りです。(具体)これまでに約80店舗を訪れ、内装・客層・メニュー構成をノートに記録しています。(学び)お店ごとに「誰に何を売る店か」が違うことに気づいてから、街を歩くのが一層面白くなりました。
この例文のポイント:記録という行動が入ると「消費する趣味」が「観察する趣味」に変わり、深掘りで話が広がります。
4. 読書(結論)趣味は読書です。(具体)月に5冊、ジャンルを固定せずに読み、印象に残った一節を手帳に書き溜めています。現在3冊目の手帳になりました。(学び)自分と違う考え方に触れる時間として大切にしています。
この例文のポイント:「最近読んだ本は?」という定番の深掘りが必ず来る題材なので、直近の1冊を面接前に言えるようにしておきます。
5. 推し活(ライブ観戦)(結論)趣味は好きなアーティストのライブ観戦です。(具体)年に6回ほど遠征し、交通費と宿泊費を月5,000円ずつ積み立てて計画的にやりくりしています。(学び)目標から逆算してお金と時間を管理する習慣がつきました。
この例文のポイント:娯楽系の題材でも「計画性」という向き合い方を添えると、遊びの話で終わりません。
6. 登山(結論)趣味は登山です。(具体)大学2年から年に10回ほど日帰り登山をしており、天候・装備・行程表を前日までに仲間3人と共有するのが自分の役割です。(学び)準備の質が当日の余裕を決めることを体で学びました。
この例文のポイント:チームでの役割が自然に入っており、人柄系の深掘り(周囲との関わり方)にも接続できます。
7. 動画編集(結論)趣味はサークルの活動動画の編集です。(具体)無料の編集ソフトを独学で覚え、これまでに20本ほど制作しました。1本あたりの編集時間を最初の8時間から3時間まで短縮しています。(学び)試行錯誤して上達していく過程そのものが楽しいと感じます。
この例文のポイント:短縮の数字がビフォーアフターになっており、独学力・改善力の証拠として機能します。
8. 語学学習(結論)趣味は韓国語の学習です。(具体)好きなドラマを字幕なしで観たい一心で毎朝15分の学習を1年半続け、簡単な日常会話ができるようになりました。(学び)「好き」を入り口にすると努力が続くという自分の型を見つけられました。
この例文のポイント:動機が正直で、継続の数字があるため、志望動機系の「あなたは何にモチベーションを感じるか」という質問にも転用できます。
特技の例文6選
特技は資格や大会実績がなくても構いません。「人より少しうまくできる日常の動作」で十分です。
1. 人の名前と顔を覚えること(結論)特技は初対面の人の名前と顔をすぐ覚えることです。(具体)アルバイト先の飲食店では、週1回以上来られる常連のお客様約30名の名前と好みを覚え、注文前に声をかけられるようにしています。
この例文のポイント:接客・営業系の仕事と相性が良い特技です。数字が入ると「感じがいい」が「強み」に見えます。
2. 早起き(結論)特技は早起きです。(具体)高校時代から6年間、毎朝5時半に起きる生活を続けており、大学の1限を4年間一度も欠席していません。
この例文のポイント:地味な題材ほど数字の説得力が際立つ好例です。自己管理能力の証拠として読まれます。
3. タイピング(結論)特技はタイピングです。(具体)ゼミの議事録係を2年間務め、話し合いをほぼリアルタイムで文字起こしできます。測定サイトでは1分間に日本語約120文字を打てます。
この例文のポイント:実務に直結する特技は、測定可能な数字を添えるだけで完成します。
4. 整理整頓(結論)特技は整理整頓です。(具体)アルバイト先の倉庫の在庫置き場を、よく出る商品順に並べ直す提案をして採用され、品出しにかかる時間が以前より短くなったとスタッフ5人から言ってもらえました。
この例文のポイント:私生活の几帳面さで終わらせず、他者への影響まで書くと特技が「貢献」に変わります。
5. 聞き役になること(結論)特技は人の話を引き出すことです。(具体)サークルの後輩から相談を受けることが多く、この1年で10人以上の履修や進路の相談に乗りました。まず相手の話を最後まで遮らず聞くことを心がけています。
この例文のポイント:対人系の特技は「心がけ」を1つ添えると再現性が見え、人柄の評価に直結します。
6. 地図を読むこと(結論)特技は地図を読むことです。(具体)初めての土地でも紙の地図だけで目的地に着くことができ、ゼミ旅行では2年連続で行程係を任され、1日6か所を回る計画を遅延なく実行しました。
この例文のポイント:一見ニッチな特技も、任された役割と実績を添えれば計画遂行力の話になります。
「趣味も特技もない」人の棚卸し5ステップ
ここからが本題という読者も多いはずです。「無趣味」と感じている人のほとんどは、趣味がないのではなく、日常の習慣を趣味と認識していないだけです。次の5ステップで棚卸ししてください。
- 先週1週間の「仕事(学業・バイト)以外の時間」を書き出す。スマホのスクリーンタイムも見る。動画、ゲーム、散歩、料理、すべて候補です
- 「気づいたら続いていること」に印をつける。3か月以上続いている習慣は、頻度と期間を数えれば趣味として書けます
- 人から頼まれること・褒められたことを思い出す。「まとめるのうまいね」「よく気がつくね」と言われた記憶は特技の原石です
- お金か時間を多く使っているものを見る。課金・グッズ・交通費の記録は、あなたが本当に好きなものの証拠です
- 候補に「数字」を付けてみる。年数・頻度・回数・冊数。数字が付いた瞬間、平凡な習慣が書ける題材に変わります
それでも見つからない場合は、今日から始めて構いません。「最近始めた趣味はランニングです。週2回から習慣にしようと3週間続けています」は嘘ではなく、正直で誠実な回答です。始めたばかりであることを隠さなければ問題ありません。
この棚卸しは実は自己分析の入り口でもあります。「気づいたら続いていること」「人から褒められること」は、あなたの強みのパターンとつながっているからです。深掘りしたい人は自己分析のやり方に進んでください。過去の出来事から題材を掘り起こす手法としては自分史の作り方も使えます。
NG例と添削ビフォーアフター
やってしまいがちなNGを、実際の添削の形で見ます。
×Before
趣味は音楽鑑賞です。特技は特にありませんが、強いて言えば笑顔です。
問題点は3つ。(1)「音楽鑑賞」だけでは向き合い方が見えない、(2)「特にありませんが」と自分で価値を下げている、(3)「笑顔」は具体的な行動がなく深掘りできない。
○After
趣味は音楽鑑賞です。中学から10年間邦楽ロックを聴き続け、年に8本ほどライブに足を運びます。特技は場を和ませることです。アルバイト先で新人が入るたびに教育係を任され、この2年で6人の初日の緊張をほぐしてきました。
変わった点:題材はそのままに、数字(10年・年8本・2年・6人)と具体的な役割を足しただけです。題材を変えずに書き方だけで評価が変わるのが、この欄の特徴です。
そのほかのNGは次の3つだけ覚えれば十分です。
- ギャンブル・宗教・政治色の強い題材:人柄以外の先入観を持たれるリスクが利点を上回る
- 「寝ること」「食べること」単体:向き合い方を書けるなら可だが、工夫が書けないなら避ける
- 嘘・大幅な誇張:面接の深掘り一発で崩れ、他の回答の信頼まで失う
面接で深掘りされたときの答え方
趣味・特技は面接序盤で高確率で拾われます。想定される深掘りは次の3系統です。
| 深掘り質問 | 面接官の意図 | 答え方 |
|---|---|---|
| いつから?きっかけは? | 事実確認+話の広げ方を見る | 素直に。きっかけの小ささはむしろ人間味 |
| 一番印象に残っていることは? | 具体的なエピソードの有無 | 1つだけ用意しておく。凄い話でなくてよい |
| それは仕事にどう活きると思う? | 抽象化する力 | こじつけず「〜する習慣がつきました」程度で十分 |
コツは1つ、楽しそうに話すことです。趣味の話で急に暗記口調になる就活生は多く、ここが自然に話せるだけで「素の顔が見えた」という好印象につながります。面接全体での質問の意図の読み方は面接でよく聞かれる質問25選で体系的に解説しています。
ケーススタディを1つ。ゼミもサークルも途中でやめてしまい「書くことが何もない」と悩んでいた加藤さんは、棚卸しの結果、毎日欠かさず見ていた料理動画と週4日の自炊に気づきました。「趣味は自炊です。料理動画を参考に2年間で約100品を作り、月の食費を1万5,000円台に抑えています」と書いたところ、面接では毎回この話題で場が和み、「数字で説明するのがうまいね」という評価まで得られました。華やかな実績ではなく、日常の習慣に数字を付けただけです。
まとめ:5分話せる題材を、数字つきで
最後に手順をまとめます。
- 棚卸し5ステップで題材を決める(平凡でよい。5分話せるかで選ぶ)
- 字数に合わせて「結論→具体(数字1〜2個)→学び」で書く
- 深掘り3系統(きっかけ・エピソード・仕事への接続)への答えを一言ずつ用意する
趣味・特技欄が書けたら、ESの主戦場であるガクチカと自己PRの完成度を上げましょう。ガクチカの書き方と自己PRの書き方で、同じ「数字で具体化する」技術をより深く使えます。